不動産・建築用語集

  • 定期借地権付き住宅

    平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された制度。更新がなく、定められた契約期間で確定的に借地関係が終了する。従前の借地法では、存続期間が満了しても借地権が消滅するわけではなく、正当事由が必要であった。その結果、借地権を設定することが躊躇され、設定する場合においては、高い権利金等の支払いが生じていた。そこで、借地借家法は、借地法の大原則である「存続期間が満了しても借地権は当然には消滅しない」という仕組みに対して、一定の場合には例外を認める、つまり一定の範囲で、更新のない借地権を認めることとし、新たに以下の3つの類型の定期借地権を創設した。
    (1)存続期間を50年以上と定めることを要件とする「一般定期借地権」(同法第22条)
    (2)借地権を設定した日から30年以上を経過した日に借地上の建物を借地人から地主に譲渡することをあらかじめ約束して借地をする「建物譲渡特約付借地権」(同法第23条)
    (3)事業目的で存続期間を10年から20年以下とする「事業用借地権」(同法第24条) この定期借地権制度が利用されることによって土地を貸しやすく借りやすくなり、借地の新規供給、利用の幅が広がることが期待されている。

  • 提携ローン

    住宅の販売会社と金融機関が提携した住宅ローンのこと。マンションなどを販売する際に、物件ごとに融資限度額や融資条件が設定され、物件広告に融資条件が明記されている。提携ローン以外の住宅ローンを非提携ローンとよんで、区別している。提携ローンでは、物件はあらかじめ審査されているので、手続きもスムーズ。さらに、金利も優遇されている場合も多い。

  • 提携ローン・紹介ローン

    提携ローンとは、宅建業者と金融機関および保証会社(信用保証会社または損害保険会社等)との間で、宅建業者の販売する住宅等の購入資金を金融機関が保証会社等の保証により利用者に融資する旨の契約をしているものをいう。なお、保証会社等を利用せず、宅建業者自身が、包括的な保証人となる提携ローンもある。紹介ローンとは、宅建業者の紹介により金融機関または住宅金融専門会社が利用者に直接融資するものをいう。

  • 停止条件

    将来発生することが不確実な事実を契約等の効力の発生要件とする場合の不確定な事実をいう。例えば「うまく入社できたらこの家を安く売買する」というような契約をしたときは、入社することが停止条件であり、このような契約を停止条件付売買契約という。入社できたことを条件の成就といい、そのとき売買契約の効力を生ずる(民法127条1項)。停止条件に対するものを解除条件と呼び、解除条件付売買契約では、反対に、契約のとき売買の効力を生じ、入社できなかったときは、解除条件が成就し契約の効力が失われる(同条2項)。いずれの条件が付されていても、条件の成否未定の間は、条件成就によって生ずる利益は保護される(同法128条、130条)。

  • 停止条件付き宅地

    売買契約の際に「契約後3カ月以内に住宅の建築の請負契約を締結すること」を条件として、土地の売買契約を結ぶことで、「建築条件付き宅地」ともいう。建築請負契約が成立しないと売買契約は白紙に戻り、それまでに支払った代金は返却される。この建築請負契約での請負人(建築業者)は、「土地の売主」か「売主の100%出資の子会社」か「販売代理」の三者に限られる。購入者が勝手に建築業者を見つけてきて、その業者に頼むことはできない。

  • 抵当権

    債務者または第三者(物上保証人)に用益させたままで、債務の担保として提供した不動産等について、優先弁済を受ける担保物権をいう(民法369条以下)。優先弁済は、通常、民事執行法に従い換価(任意競売)によるが、破産の場合は別途権(破産法92条以下)、会社更生では更正担保権(会社更生法123条等)によって行う。抵当権者は目的物の交換価値だけを確保し、設定者に使用収益権を留保することから、生産財についても最も合理的な担保とされ、不動産に限らず、特別法により、鉄道財団(鉄道抵当法)、工場財団(工場低当法)、航空機(航空機低当法)、船舶(商法848条以下)、自動車(自動車抵当法)、建設機械(建設機械抵当法)等を対象とする抵当権もある。

  • ディスポーザー

    キッチンの生ゴミを粉砕して流し、排水と一緒に処理装置で分解する、家庭用生ゴミ処理機のことをいう。ゴミ収集日まで生ゴミを保管しなくてよいため、悪臭やハエ・ゴキブリなどの発生を予防できるメリットがある。また、家庭内でゴミの減量ができるため、ゴミの排出量を減らせるという考えもある。その反面、生ゴミを含んだ排水は、下水処理場への負担がかかるため、使用を規制したり、自粛を求める自治体もある。

  • 手数料

    「手数料」には様々な用例があるが、不動産取引において単に「手数料」と言われる場合には、通常、宅建業者が収受する媒介報酬をいう。なお、法令用語としては、国等が他人のために行う公務に関して徴収する料金をいい、宅建業法では宅建業者の免許・免許更新、取引主任者の登録・登録移転、取引主任者証の交付・更新について手数料徴収を規定している。

  • 鉄筋の露出

    コンクリートの亀裂等の原因により、コンクリートが剥離し工作物に埋設された鉄筋が露出することをいう。鉄筋コンクリートの建物は、鉄筋とこれを保護するコンクリートによってその安全性が確保される。コンクリートのアルカリ性は鉄筋が酸化して錆びることを防ぐとともに、その不燃性は火災の熱から鉄筋が弱くなることを防いでいる。これらの役割をもつコンクリートが亀裂を生じ剥落を起こすようなことがあれば、鉄筋は急速に錆びて弱くなり、火災時には直接熱を受けて軟化してしまう。コンクリートが剥落して鉄筋が露出することは建物にとって致命的な出来事である。直ちにコンクリートやモルタルで修繕をして鉄筋を保護する手当てを行う必要がある。

  • 手付(てつけ)

    売買、賃貸借等の契約に際し、当事者の一方から相手方に対して交付される金銭その他の有価物をいう。手付には、契約の成立を証する証約手付、手付を交付した者はそれを放棄し、相手方はその倍額を償還して契約を解除することを認める解約手付、手付額を債務不履行の場合の損害賠償額の予定または違約罰とする違約手付がある。どの手付であるかは当事者の意思によって決められるが、いずれの場合にも、証約手付の意味がある。民法は、当事者の意思が不明のときは、解約手付と解することとしている(民法557条)。宅建業者が売主として受け取る手付は解約手付である(宅建業法39条2項)。なお、契約の際内金と表示されても解約手付と解されることがある。手付金は、契約が約定どおり履行されるときは、一部弁済として取り扱われることとなる。

  • 手付金等(てつけきんとう)の保全措置

    買主が手付金等を売主に払った後で、売主の倒産などで物件の引き渡しができなくなった場合に、支払った手付金等を返還してもらえる措置のこと。不動産の売買契約で、代金の全部または一部として授受される金銭で、契約を交わした日から物件を引き渡してもらうまでの間に「手付金」「中間金」「内金」などの名称で支払ったものを「手付金等」と呼ぶ。不動産会社が売主となって、未完成物件を売買する場合には代金の5%または1000万円を超える手付金等、すでに完成した物件を売買する場合には代金の10%または1000万円を超える手付金等が支払われる場合に、その全額に対して保全措置を講じなければならない。具体的には、金融機関や保険会社との間で保証委託契約か保証保険契約を結んで保全措置をとる。

  • テナント tenant

    広い意味では借地人、借家人のこと。現在では事務所ビル、マンションの下層階や雑居ビルなどを借りる事務所や店舗およびその借主を指すことが多い。テナントのあっせんは、不動産業者にとって業務の大きな柱の一つであるが、建設会社が賃貸ビルの建設受注を受ける際の条件の一つになることがある。ビルの建築中に「テナント募集」の広告を掲げている例が見られる。

  • デベロッパー

    都市開発や再開発、住宅地の造成・開発、建売住宅やマンション、別荘などの建設・分譲を行う大規模な土地開発業者開発者(会社)のこと。

  • テラス

    リビングと庭をつなぐ中間的なスペースで、リビングの床と同じ高さに張り出した屋根のない空間のことをいう。テラスの床にはコンクリートブロックや、レンガを用いるのが一般的。

  • テラスハウス

    各戸にテラスをもつ低層の連続建住宅。隣家とは共用の壁で連続しているので、連棟建て、長屋建てともいわれる。

  • テラゾー

    大理石や花こう岩を粉砕した粉をセメントや樹脂と練り混ぜ、なめらかに磨いて大理石のような美しい模様に仕上げた人造石のこと。天然石に比べ安価で、耐久性があり、手入れも簡単。ただし、酸や熱には弱い。

  • テレコントロールシステム

    電話回線を利用して、ガス・水道・電気・自動販売機などを集中監視・管理したり、外出先から、空調設備や給湯、換気、照明器具や炊飯器など家電設備の操作、玄関扉の施錠確認などができるシステムのこと。

  • テレビ共聴アンテナ

    一本のアンテナで複数戸のテレビを受像する装置のこと。中高層集合住宅では、建物の屋上に親アンテナを立て、これが受信した電波を分配器とケーブルによって各住戸に送る。電波障害対策のため、テレビ共聴アンテナを利用する一戸建てもある。

  • テレビモニター付きドアホン

    インターホンにテレビカメラを取り付け、住まいの中から外の様子や訪問者の顔を見ることができる装置。

  • 電気温水器

    電気料金が安くなる深夜電力を利用して湯を沸かし、貯湯槽に蓄えておいて炊事や洗面、入浴など給湯に利用する機器のこと。

  • 電気調理器

    磁力線により鍋自体を発熱させる仕組みの調理器。熱効率がきわめて高く、操作性にも優れている、調理器自体が熱くならないので安全性も高く、空気も汚さない。

  • 電車・バス等の所用時間

    不動産の表示規約では、電車・バス等の所要時間の表示基準を定め(同規約12条7号)、1)乗換えを要するときはその旨、2)特急・急行等の種類、3)特急料金等の特別料金を要するときはその旨、4)ラッシュアワーと平常時の所要時間が著しく異なるときはその旨、5)運行本数が著しく少ないときはその旨を明示することを義務づけている。所要時間はダイヤグラムに従い表示するが、乗換え時間や待ち時間は含まれない。なお、通勤時間帯に運行されていない特急列車等による所要時間だけの表示は許されない。

  • 天井

    室空間の上部を構成する面である。天井の機能は、小屋組み、床組み、梁型等を隠し、遮熱、遮音、防塵(ぼうじん)を図ること等であるが、天井ふところを配線・配管・ダクトスペースとして使用するという副次的な機能も有している。なお天井の高さは、居室においては2.1m以上、学校(専修学校、各種学校、幼稚園は除く)の教室で50㎡を超えるものにおいては3m以上とすることが建基法施行令21条で定められている。

  • 天袋(てんぶくろ)

    引出しや棚などがつかず、天井面に付いた中が空洞の戸棚の事。襖(ふすま)製の引違い戸がつく。

  • 天窓

    屋根の一部に光の透過する材料(通常はガラス)をはめ、室内の採光を天井部から行うための設備。「トップライト」ともいう。壁面に設ける窓より採光量に優れ、建築基準法上の有効採光面積を算定する際には3倍の面積に換算される。部屋全体を明るくしたい時や、大きな窓がとれない、日当たりが悪いなど採光上の問題を抱えた住宅に用いられる。